法改正情報

  • 平成27年 特許法等の一部改正

    主な法改正の内容

    ・職務発明制度の見直し
    ・特許料等の改定
    ・特許法条約および商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備

    (1) 職務発明制度の見直し

    ① 契約、勤務規則その他の定めにより、特許を受ける権利を、使用者等に帰属させることができます。

    ② 従業者等は、特許を受ける権利等を取得等させた場合には、相当の金銭その他の経済上の利益(金銭に限定されないことになりました)を受ける権利を有します。

    (2) 特許料等の改定

    ① 特許料が、特許権の設定登録以降の各年において、10%程度引き下げられました。
    新料金
    特許出願料 14,000円
    特許料(第1年~第3年)毎年2,100+請求項の数×200円
    特許料(第4年~第6年)毎年6,400+請求項の数×500円
    特許料(第7年~第9年)毎年19,300+請求項の数×1,500円
    特許料(第10年以降) 毎年55,400+請求項の数×4,300円

    ② 商標の登録料が25%程度、更新登録料が20%程度引き下げられました。
    新料金
    設定登録料(10年分) 区分数×28,200円
    更新登録料(10年分) 区分数×38,800円
    ③国際出願に係る料金が変更されました。

    (3)PLT・STLTの実施のための規定の整備

    ① 特許の外国語書面出願の翻訳文を所定の期間内に提出しなかった場合、特許庁から通知がくることになりました。また、その期間が経過した後であっても、一定の期間内に限りその翻訳文を提出することができます。

    ② 商標について、出願時の特例の適用を受けるための証明書が所定の期間内に提出することができなかった場合でも、その期間が経過した後、一定の期間内に限りその証明書を提出することができます。

    詳細は、特許庁のHPを参照願います。
    https://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tokkyohoutou_kaiei_270710.htm

  • 平成26年 特許法等の一部改正

    平成26年 特許法等の一部改正

    主な法改正の内容
    ・救済措置の拡大(優先権主張の時期、審査請求の時期、新規性喪失の例外の証明書の提出時期、分割出願・変更出願の時期、特許料・登録料の納付期限)
    ・特許異議の申し立て制度の創設
    ・意匠登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際出願
    ・商標法の保護対象の拡充
    ・地域団体商標の登録主体の拡充
    ・国際出願の手数料の納付手続きの見直し

    1.特許法

    (1)救済措置の拡充
    (a)優先権主張に関する救済
    (i)優先権主張の時期の見直し
    国内優先権主張及びパリ条約に基づく優先権主張は、出願と同時にしなければならなかったところ、経済産業省令で定める期間内に限り可能になりました。
    (ii)優先期間徒過後の出願に係る優先権の回復
    国内優先権期間又はパリ条約の優先権期間を経過した後であっても、正当な理由があり、かつ、経済産業省令で定める期間内に出願された場合には、優先権を主張可能になりました。
    (iii)優先権書類の提出期間徒過後の提出に係る優先権の回復
    出願人の責めに帰することができない理由(以下、不責事由)により、優先権書類を1年4ヶ月の提出期間内に提出できなかった場合でも、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば提出可能になりました。

    (b)分割出願・変更に関する救済
    (i)分割出願
    出願人の不責事由により、特許査定謄本送達日から30日以内、または拒絶査定謄本送達日から3月以内に分割出願をできなかった場合でも、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、分割出願が可能になりました。
    (ⅱ)変更出願
    出願人の不責事由により、実用新案登録出願の日から3年を経過した場合、又は意匠登録出願に対する拒絶査定謄本送達の日から3ヶ月若しくは出願日から3年を経過した場合、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、変更出願が可能になりました。

    (c)審査請求期間に関する救済
    (ⅰ)審査請求期間の経過後でも、正当な理由がある場合は、その理由がなくなった日から2月以内で、審査請求期間の経過後1年以内であれば、審査請求が可能になりました。

    (d)新規性喪失の例外規定に関する救済
    (ⅰ)新規性喪失の例外規定の証明書
    出願人の不責事由により、出願日から30日以内に提出できなかった場合、期間経過後でも提出可能になりました。但し、その理由がなくなった日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に提出することが必要です。

    (e)登録料等の不納付に対する救済
    (ⅰ)特許料の納付
    特許料を納付する者が、不責事由により納付できなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、納付が可能になり ました。
    (ⅱ)既納の特許料の返還請求
    特許料の返還請求をする者が、不責事由により、返還請求をできなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、返還請求が可能になります(111条3項)。
    (ⅲ)過誤納の手数料の返還請求
    過誤納の手数料の返還請求をする者が、不責事由により、返還請求をできなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、返還請求が可能になります(54条の2第12項)。

    (f)存続期間の延長登録出願に対する救済
    (ⅰ)出願人の不責事由により、特許権の存続期間の満了前六月の前日までに延長登録出願をできなかった場合、期間経過後でも提出が可能になりました。但し、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内に出願することが必要です。

    (2)特許異議申し立て制度の創設
    以前、導入されていた特許異議申し立て制度が、再び創設されました。今回創設された特許異議申し立て制度においては、特許権者による訂正請求があった場合に、異議申立人がこれに対する意見書を提出可能になりました。詳細なフローは、以下を参照願います。
    https://www.jpo.go.jp/seido/tokkyo/tetuzuki/shinpan/tokkyo-igi/pdf/index/flow_shousai.pdf
    改正法の施行後に特許掲載公報が発行された特許が対象となります。

    2.意匠法

    (1)救済措置の拡充
    (a)新規性喪失の例外規定の証明書
    出願人が不責事由により、出願の日から30日以内に提出できなかった場合は、その理由がなくなった日から14日(在外者にあつては、2ヶ月)以内でその期間の経過後6月以内に提出することが可能になりました。

    (b)登録料等の不納付に対する救済
    (ⅰ)登録料の納付
    登録料を納付する者が、不責事由により納付できなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、納付が可能になりました。
    (ⅱ)既納の特許料の返還請求
    登録料の返還請求をする者が、不責事由により、返還請求をできなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、返還請求が可能になります。
    (ⅲ)過誤納の手数料の返還請求
    過誤納の手数料の返還請求をする者が、不責事由により、返還請求をできなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、返還請求が可能になります。

    (2)国際登録出願
    (a)国際登録出願
    (ⅰ)ハーグ協定のジュネーブ改正協定1条(ⅶ)に基づく国際出願が可能になります。これにより、日本国特許庁を経由して複数国への一括した出願が可能です。
    (ⅱ)複数の意匠が一出願に含まれる国際意匠登録出願の場合は、意匠ごとにされた意匠登録出願とみなされます。

    (b)新規性喪失の例外の特例
    ・新規性喪失の例外規定の適用を受ける旨を記載した書面、及び証明書を、国際公表日後、省令で定める期間内に提出する必要があります。

    (c)補償金請求権
    国際公表後、意匠権の設定登録前に、業として国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対して、警告することを条件として、警告後から意匠権設定登録までの実施料相当額を請求することができます。

    3.商標法

    (1)保護対象の拡充
    (a)色彩のみや音についても商標登録の対象となりました。また、動きやホログラムのように文字や図形などが変化する商標も商標登録の対象となりました。

    (2)地域団体商標の登録主体の拡充
    商工会、商工会議所、特定非営利活動法人についても、地域団体商標の商標登録を受けることが可能になりました。

    (3)救済措置の拡充
    (a)出願時の特例の証明書
    9条1項に規定の出願時の特例を受けようとするものが、不責事由により、出願日から30日以内に証明書を提出できないときは、その理由がなくなった日から14日(在外者にあつては、2ヶ月)以内でその期間の経過後6月以内であれば、提出が可能になりました。

    (b)登録料等の不納付に対する救済
    (ⅰ)登録料の納付
    登録料を納付する者が、不責事由により納付できなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、納付が可能になりました。
    (ⅱ)既納の登録料の返還請求
    登録料の返還請求をする者が、不責事由により、返還請求をできなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、返還請求が可能になりました。
    (ⅲ)過誤納の手数料の返還請求
    過誤納の手数料の返還請求をする者が、不責事由により、返還請求をできなかったときは、その理由がなくなった日から14日(在外者は2ヶ月)以内で、その期間の経過後6ヶ月以内であれば、返還請求が可能になりました。

    (c)国際登録の取消後の商標登録出願
    国際登録の取消後、3ヶ月以内に商標登録出願をすることができない場合でも、出願人の不責事由による場合には、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2ヶ月)以内でその期間の経過後6月以内にその出願をすることができます。
    この場合、出願日は、国際登録の取消後3ヶ月以内の期間の満了する時にされたものとみなされます。

    詳細は、特許庁のHPを参照願います。
    https://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tokkyohoutou_kaiei_260514.htm

判例情報

  • 平成29年3月24日 最高裁第二小法廷 マキサカルシトール事件(平成28(受)1242)

    平成29年3月24日 最高裁第二小法廷 マキサカルシトール事件(平成28(受)1242)(原審:知財高裁大合議 平成28年3月25日判決 平成27年(ネ)第10014号

    本事件は、均等論の第5要件の「特段の事情」に該当するか否かについて争われた事件です。なお、均等論の第1要件~第5要件は、以下のとおりです。対象製品等が特許発明の均等物であるは判断されるためには、第1要件~第5要件を満たす必要があります。

    1. 対象製品等と異なる部分が特許発明の本質的部分ではないこと。
    2. 異なる部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏すること。
    3. 異なる部分を対象製品等におけるものと置き換えることが、対象製品等の製造等の時点において容易に想到できたこと。
    4. 対象製品等が、特許発明の出願時における公知技術と同一、または公知技術から容易に推考できたものではないこと。
    5. 対象製品等が特許発明の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないこと。

    本事件では、出願人が、特許出願時に、特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき、対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず,これを特許請求の範囲に記載しなかった場合に、このことが、第5要件の特段の事情に該当するか否かが判断されました。最高裁は、それだけでは特段の事情に該当しないと判示しました。

     本事件の最高裁の判断は、以下の通りです。

     特許出願に係る明細書の開示を受ける第三者に対し、対象製品等が特許請求の範囲から除外されたものであることの信頼を生じさせるものとはいえず、当該出願人において,対象製品等が特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したと解されるような行動をとったものとはいい難い。

     容易に想到することができた構成を特許請求の範囲に記載しなかったというだけで,特許権侵害訴訟において、対象製品等と特許請求の範囲に記載された構成との均等を理由に対象製品等が特許発明の技術的範囲に属する旨の主張をすることが一律に許されなくなるとすると,先願主義の下で早期の特許出願を迫られる出願人において、将来予想されるあらゆる侵害態様を包含するような特許請求の範囲の記載を特許出願時に強いられることと等しくなる。

     一方、明細書の開示を受ける第三者は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものを上記のような時間的制約を受けずに検討することができるため、特許権者による差止め等の権利行使を容易に免れることができる。

     そうすると、出願人が、特許出願時に、特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき、対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず、これを特許請求の範囲に記載しなかった場合であっても、それだけでは、対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するとはいえないというべきである。
    ただし、上記の場合であっても,出願人が,特許出願時に,その特許に係る特許発明について、特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき、特許請求の範囲に記載された構成を対象製品等に係る構成と置き換えることができるものであることを明細書等に記載するなど、客観的、外形的にみて、対象製品等に係る構成が特許請求の範囲に記載された構成を代替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたといえるときには、
    対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなど特段の事情が存する。

  • 平成27年6月5日 最高裁判所第二小法廷 プラバスタチンNa事件(平成24(受)1204、平成24(受)2658)

    平成27年6月5日 最高裁判所第二小法廷 プラバスタチンNa事件(平成24(受)1204、平成24(受)2658)(原審:知財高裁大合議 平成24年01月27日判決 平成22(ネ)10043号)

    最高裁は、プロダクト バイ プロセス(以下、PBPという)クレーム形式で記載された特許発明(物の製造方法で特定された物の発明)の技術的範囲は、その製造方法により製造された物と構造、特性等が同一である物として確定されるものと解すると判示しました。

    「願書に添付した特許請求の範囲の記載は、これに基づいて、特許発明の技術的範囲が定められ(特許法70条1項)、かつ、同法29条等所定の特許の要件について審査する前提となる特許出願に係る発明の要旨が認定される(最高裁昭和62年(行ツ)第3号平成3年3月8日第二小法廷判決・民集第45巻3号123頁参照)という役割を有しているものである。そして、特許は、物の発明、方法の発明又は物を生産する方法の発明についてされるところ、特許が物の発明についてされている場合には,その特許権の効力は,当該物と構造,特性等が同一である物であれば,その製造方法にかかわらず及ぶこととなる。
    したがって、物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造、特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である。

    ただし、最高裁は、「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である。」
    すなわち、PBP形式のクレームが、特許法36条6項2号を満たすには、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られる」と判示し、そのような事情が存在しない場合には、特許法36条6項2号違反(明確性要件違反)になるとしました。

    なお、本件最高裁判決の判示内容を踏まえ、特許法36条6項2号違反(明確性要件違反)に関する当面の審査については、特許庁のHPにて公開されております。

    「プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する当面の審査・審判の取扱い等について」
    https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/product_process_C150706.htm
    今後の特許出願に限らず、既に出願されたものも対象となります。同様に、今後請求される審判事件、特許異議申立事件、判定事件(以下、「審判事件等」という。)に限らず、現在係属中の審判事件等も対象となります。したがって、既に成立している特許に対する審判事件等も対象となります。

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